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無関心に訴えかける力

2019-09-23 19:30

こんにちは! ラグビーワールドカップのオープニングセレモニーで、キモノプロジェクトのアイルランドのお着物を披露させていただくという一生に一度のような体験をし、盛り上がっているクリスチーナです!広大な東京スタジアムを歩くのは…圧巻でした。

わかりずらいのですが、左側にいる頭にお花をつけた緑のお着物が私です。トップバッター兼センターを担当しました。

rugby

さて、アイデンティティに興味をもつきっかけについて書くとお約束していたのですが、もう少し話の範囲を広げて__、「無関心に訴えかける力」__について考察したいと思います。

実はこちらのテーマで、先日開催された30Under30の授賞式でパネリストとして登壇させていただいたのですが、登壇前はなかなか考えがまとまらずに苦戦していました。

ところが、登壇前の打ち合わせ、および本番のディスカッション中に自分の中で「どのように関心を集めるか」についてなかなか面白いアイデアを整理できた気がしたのでまとめてみました。 forbes2

2:8の法則

行動するかどうかが興味有無の分かれ目

人それぞれ違う経験をしてきているので、心に響くストーリーは違って当たり前です。

例えば、私はアイデンティティ・途上国支援・移民問題に関してはパッションを持っていますが、ファッション・美容・フォトグラフィー・建築など他の業界に関しては生きていくうえで必要最低限の興味しかありせん(笑)

2:8の法則仮説① (経験則)

各話題について、(些細なことでもいいから)行動できるほど興味を持っている人は人口の2割程度であり、その話題における活動や消費の約8割を占めている。 つまり、自分が活動しているテーマについて一緒に行動してくれる人はそもそも2割しかいない。

興味を持っている2割の中でも興味の度合いは異なる

興味のある話題に関して起こせる行動はたくさんあります。寄付や署名など興味の表明にはじまり、有料セミナーに行って知識を深める段階、情報を取りまとめ提案書を作成したりなど本格的にプロジェクト支援をするなど様々なアクションがあるでしょう。

例えば私は、「社会課題」に関して興味をもっている2割に入っています。核兵器隔絶や海洋汚染、絶滅危惧種保護・森林破壊などある程度幅広くリサーチし、自分の考えを持ってはいますが、人生をかけて取り組んでいる人とは比べ物にならないくらいの興味レベルです。

2:8の法則仮説② (経験則)

各話題について、その話題を前進させ、ムーブメントを起こせるほど関心を持っているのは更に2割程度の人口であり、その話題の活動の約8割に貢献している。 つまり、強力なサポーターになれるのは興味のある2割の中のわずか2割である。

プログ 1

興味を持っていない8割の中にも潜在的なサポーターが隠れている

人間はlazy(怠けもの)であり、きっかけやワンプッシュがないとなかなか動き出したり、Comfort Zone(今までと変わらない居心地の良い自分)から出てくれません。

例えば、わたしもヨーロッパにいる時代から難民問題に対して違和感を持っていましたし情報収集もしていましたが、プロジェクトとして動き出したのは、アメリカで本格的に難民問題に取り組みたいと思っている人に出会い、議論を重ねていったことでした。

2:8の法則仮説③ (経験則)

各話題について、興味のない人の中には「きっかけさえあれば興味を持ってくれる可能性のある人」が2割程度潜在的におり、そして彼らがムーブメントを大きくし、スケールする際のキーマンになる。 つまり、興味のない8割も完全には無視できないということです。

一言でまとめると、「興味のない人はとことん興味ない、興味ある人はとことん興味ある」というところでしょうか。

相手の言葉で話す

最近聞いた話で、「相手の頭の中の整理はプレゼンテーション、自分の頭の整理はExplanation(説明)」というものにとても納得しました。

人間は、自分の考えが整理されると自分の考えだと思い込み、行動するようになります。 つまり、相手にとってほしい行動があるときは、「相手の世界観の中心にあるもの」は何で、「自分が伝えたい考えはその世界のどこにあるか」を理解し、「その場所を相手の言葉で語ってあげること」が効果的なのです。

プログ 2

例えば、私がアイデンティティのプロジェクトをプレゼンしたりピッチしたりするときは、相手のバックグラウンドと期待値によって話の順番や見せ方を変えています。

バックグラウンドの軸は、その人の職業とKPI、趣味、休日など自由な時間の過ごし方、性別や年齢などいくつかあります。

例えば、技術的なバックグラウンドを持っている方にはブロックチェーンについてをより丁寧に説明したり、法律関係のバックグランドを持っている方には国際規格に関することを丁寧に話すようにしています。

また、このプロジェクトに興味を持ってくれる方は、社会貢献をしたいと思っている方がほとんどなので、彼らのその思いがどこからくるのかを理解することを大事にしています。

少人数の時に、いきなり自分からプロジェクトの話をすることはできるだけ避けますし、大人数に向けてのプレゼンの時は、他のスピーカーのプロファイルやプレゼンのタイトルから来客層のペルソナをイメージするようにしています。(プレゼンの依頼は皆様が思っている以上にザクっとした概要しかないときが多いのです…)

全員に通じる言葉がアート

先ほど相手の言葉で話す重要性について書きましたが、Universalな言語が音楽、絵画、ダンス、オペラなどのアートだと思います。

もちろんアートも人それぞれ好みはありますが、言葉で説明するよりも効果的である場合が多いです。

実際に、私が1時間かけてアイデンティティの大切さを説明するよりも、難民の方が自分の想いを歌っている4分のミュージックビデオを見てもらった方が説得力があり、賛同を得やすいです

この曲は最初のロケーションをバングラデシュに決めた理由でもありますし、私も聞くたびに自分がやっていることの意義を再確認しています。 song

無関心な人に行動してもらうもっとも効果的な方法?

Netflixのオリジナルドキュメンタリー「The Great Hack」をご覧になられた方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。

主旨をすごく簡単にまとめると、Cambridge AnalyticaはFacebookから入手した個人のデータを用いて、アメリカの大統領選挙について考えや投票先が決まっていない人(≒無関心な人)を特定し、その人達に向かってトランプに投票するように施す広告を打ち、投票行動をコントロールしていたのです。 そして彼らはこれをアメリカ大統領選に限らず、Brexit(イギリスの欧州連合離脱)をかけた国民投票や中南米・アフリカの国の選挙でもやっていたのです。

つまり、個人情報の売買で成り立っている現在のインターネットのビジネスモデルを使うという、無関心に訴える最も効率的な方法が存在するのです(想像を絶する額が必要になります)。 この方法で得られる結果が論理的かどうかは別問題ですが。

以前も書いた気がしますが、私は自分のデータが自分の知らないところで自分の行動変容に使われていることが気持ち悪くて仕方ありません。 あまり選択に時間を使いたくない服などの分野においてはまだ許容範囲なのかもしれませんが、民主主義の根幹にある選挙となると許せません。

広告主の影響による、自分の行動変容を最小限に抑える方法は、「無関心な人」に分類されないことです。そのためには、各問題に関して自分の考えも持つことが第一歩です。

ちなみに、日本でCambidge Analyticaモデルが行われなかったのは、コンピューターの(利用可能な状態にある)インプットデータ不足・アルゴリズムの進化の遅さなど技術的な原因が大きいのだという仮説を持っています。 ですので、今後日本でもCambidge Analyticaのような行動変容が十分に起こりうるのです。

繰り返しになりますが、皆さま、自分の考えを持つようにしてください。 「どっちでもいいや」が一番影響されやすいのです。

今度MyData JapanでThe Great Hackのスクリーニングをするのでぜひお越しください!

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あ!なんの話だったかというと30Under30の授賞式ですね。そこで出会った他の受賞者には本当に刺激を受けました。私が紹介するのもおこがましいので、Forbesのインタビュー記事のリンクを貼っておきます!

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Forbes Japanさんがとても素敵な盾を作ってくださって、感動しました。 早く家に届かないかな。

イベントでは難民問題に取り組んでいる学生やアフリカでビジネスをやろうとしている女性など様々な人に会えて私も元気をもらいました!

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今日から2週間アメリカです!Identityにどっぷり浸れるのがすごく楽しみ!

マイクロソフトのDevRelチームでの会議 →Consumer Identity Worldで基調講演とパネルディスカッション →Internet Identity Workshop参加

ワイナリー行ったりする予定なので、USでの収穫についてまたレポートします!