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DevCon5 (Ethereum開発者会議)のポイント

2019-10-25 15:00

こんにちは!

最近、分散型アイデンティティのプロジェクトでは、ブロックチェーンを使用しない技術の検討も始めているのですが、ブロックチェーン業界の動向は引き続き気になるので、先週、日本初開催となったEthereum開発者会議、DevCon5についてレポートします。

私は、仕事と風邪で最終日しか行けなかったため(それでも薬で熱を無理やり下げて海外からの友達に会いにいく私w)、ブロックチェーンに深く関わっている優秀な友人勢に一番良かったセッション・一番刺激を受けた人物/企業についてヒアリングしておまとめしました。

TokenLabさんが詳しいDevCon5関連のレポートを出すと思う(確約はしません)ので、気になる方はそちらを見てみるのもおすすめです。

そしてここにコミュニティみんなで書いているセッションのメモがあります!(空欄が多いですが、たまに宝あり)

こちらには登壇の画像が収録されているのでキャッチアップにご利用ください(2019/11/17 加筆)

DevConってなに?

表向きには、時価総額がビットコインに次ぐ仮想通貨「Ethereum(イーサリアム)」を動かしている技術であるEthereum Blockchainの開発者が集まる会議です。

ただ、実際には、Ethrerum以外のブロックチェーンの開発者や、仮想通貨取引所の人など開発者以外の方も数多く集まっているのが事実です。今年は弁護士や、IT大臣なども参加していたことが特徴的でした。

仮想通貨の開発者会議ではありません

時価総額がビットコインに次ぐ仮想通貨「イーサリアム」。その開発者会議「デブコン5」が2019年10月11日、閉幕した。

CoinDeskさんは記事で上記のように仮想通貨の開発者が、集まったかの言い方をしておりますが、仮想通貨以外の目的でEthereum Blockchainを開発している人もプロジェクトも多く集まっており、Ethereum=仮想通貨ではないので、これが正確な言い方ではないことだけ記載しておこうと思います。

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Ethereum 2.0

Ethreum以外のブロックチェーン開発者も多かったようですが、一番セッション数が多かった注目の重要トピックは、「Ethreum 2.0」の進捗状況。 その中でも、Consensysのエンジニアにヒアリングしたところ、「すでに利用可能な技術 の実用的かつ即時の応用に関連しているため」最も感銘を受けたプレゼンテーションは、"How Two Microsoft Engineers Build Blockchain Apps on Ethereum Networks"でした!

マイクロソフトのDavid BurelaとEric Mainoは、スマートコントラクトの開発に関して、彼らのチームによって開発されたVS Codeプラグインを使用したデモを実行しました。この製品には、Azureクラウドを使用してコンソーシアムプライベートネットワークを実行するためのショートカットなど、非常に広範な機能のリストがあることに驚きました。

David Burela and Eric Maino (from Microsoft) ran a demo using a VS Code plugin, developed by their teams, regarding smart contract development. The product surprised me for having a really extensive list of features, including things like shortcuts to run a consortium private network using Azure cloud.

Davidは日本のお客さん向けの開発で来日することも多く、仲がいいため、個人的に彼のセッションがハイライトされて嬉しかったです。

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Azure Blockchain Service (Microsoft)

マイクロソフトの話になったので付け加えておくと、、マイクロソフトはDevConのスポンサーもしており、ブロックチェーン界隈でのマイクロソフトの取り組みを知らない方が多いためか、"What are you doing?"で会話が始まることが多かったのですが、Azure Blockchain Serviceの話をすると、とてもポジティブな反応が! 主なヒット製品は、メインネット開発に焦点を当てている開発者向けの開発者ツール(VSCode)だそうです。

Enterprise側から見たら、Azure Blockchain ServiceによってBlockchainがかなり簡単に使えるようになったのは事実だと思います。だってクリックするだけでブロック生成できるんですよ? コア開発者から見たら物足りないのはわかりますが。

以下がAzure Blockchain Serviceコアチームからコミュニティに伝えてほしいとお願いされたKey messageです。 • Microsoft is a leader in open source, standards & Blockchain –community engagement innovation • Azure is leading the way in bringing Blockchain & Trusted Execution Environments to the cloud • Azure is delivering serverless and developer tools to make devs and ops more productive than ever

blockchain.tokyo #22 Quorum & Microsoft Azure Blockchain!!

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ブロックチェーンの人道支援・国際開発における活用

ブラジル開発銀行の事例

「BNDESToken:ブラジルの公金配分における信頼とコンプライアンスの向上」と呼ばれるBNDES(ブラジル開発銀行)の講義も興味深いものでした。 BNDESは世界で2番目に大きい開発銀行であり、パイロットプロジェクトでのローンに使用される安定したコインの実装について詳細を説明しました。国内の現行法との非互換性のために直面した困難について共有。それらが単純なものであるように思えても、ユースケースを実行する必要性があることを証明。

The BNDES lecture called "BNDESToken: Increasing Trust and Compliance in Brazilian Public Money Allocation" was also interesting. BNDES is the second largest development bank in the world and they gave details about the implementation of a stable coin used for loans in a pilot project. They highlighted all the difficulties they need to fight because of incompatibilities with the current laws in the country. But it shows that we need to start running some cases, even when they seem to be something simple.

Ukiyo Conference

DevCon会場内ではなく、サイドイベントとして開催された国際開発・人道支援を目的としたブロックチェーン活用に特化したUkiyo Conference。私もDigital Identity PJTについてプレゼンするはずだったのですが、予定が合わず(泣) Identity以外でもブロックチェーンが使われ始めているようで嬉しいです。

Embedded content: https://www.facebook.com/christina.yasuda/posts/2914051978624382

UI/UX周りの議論

仮想通貨を購入したり、Dappsで遊んだことのある方ならご存じだと思いますが、現在の仮想通貨ウオレットやDappsは結構使いずらい。セキュリティ上も問題から複数のステップを踏まなければいけなかったり。(ブロックチェーンは個人の責任が重くなるので、ある意味仕方がないのですが) という理由から、いかにUI/UXを使いやすくするかが最近の大きなテーマで、DevConもエンジニアと同じくらいの人数のデザイナーが来ておりました。

UXセッションの間で最もコメントが多かったのは、Alex Van de Sandeによる「ユニバーサルログインの進捗状況:より簡単に搭乗してイーサリアムを作成する方法に関する結果」でした。彼は、ユニバーサルログインソリューションが前回のDevconからどのように進化したかを説明しましたが、それがすでに完璧なUXからのものであると考えている範囲を説明しました。ユーザーのオンボーディングの流れにモバイルアプリケーションを含む、前回のDevconからのソリューションの進化は明らかでした。

Between the UX sessions, the one that was most comment was "Universal Login Progress: Results on How to Make Ethereum on Boarding Much Simpler" by Alex Van de Sande. He explained how the Universal login solution evolved since the last Devcon, but how far he thinks it already is from a perfect UX. It was clear the evolution of the solution from the last Devcon, including a mobile application in the flow of onboarding an user.

ちょっとマニアックなやつ

CryptoKitties創業者が独自ブロックチェーン開発を開始

シリコンバレーにいた時期からの仲良し、StakedCEOそーたのおすすめセッション。 Embedded content: https://twitter.com/WatanabeSota/status/1181192450351566848 Stakedでは独自ブロックチェーン開発フレームワークのSubstrateを開発しているブロックチェーン・スタートアップであるため、トレンドが独自ブロックチェーンに向くかは大事な着目ポイント。

独自ブロックチェーン開発フレームワークによって可能になるのは、Wordpressのような感覚で自分好みのブロックチェーンを手軽に作れる世界。

現在、コンセンサスアルゴリズムや、トークンモデル、ガバナンスモデルなどが微妙に違うブロックチェーンが各利用者の用途に合わせて増殖しており、それぞれがスケーラビリティやセキュリティなどの問題を抱えているため、ブロックチェーンを身近なものにする方法として、私もとても期待しています。

#SubstrateはEthrerumではなくPolkadot Blockchain周りの技術です。Polcadot @ DevConはこちらにスライドもあります #創業者のそーたは、シリコンバレーのブロックチェーン企業での経験もあり、ブロックチェーンに人生をかけている面白いやつ!。

Aragonが独自のPoSチェーン開発を開始

そーたおすすめのセッション② Embedded content: https://twitter.com/WatanabeSota/status/1182821702532620289

ちなみにAragon

Ethereum上で、DAO(Decentralized Autonomous Organization・分散自律組織) を構築するフレームワークです。 DAOとは、「Decentralized Autonomous Organization」の略語であり、日本語では「分散自律組織」などと呼ばれます。 ソース

Ethereumは自体の開発が比較的分散型で行われており、それぞれの開発者が必要だと思うアップデートを主張するため、開発がループしたりすることもあるそうです。その中で、今回のAragonのように必要な技術を自分たちで作りに行くスタートアップも増えているようです。

Ethrerumブロックチェーン自体の合意形成アルゴリズムが来年の春にPoWからPoSに移行することも、このニュースが面白い理由でしょう。

Fun大賞(おまけ)

Karl Floersch, from the EF, presented "The Optimistic Virtual Machine: an Ov(m)erview" in a very funny way. It was amazing to see he describing in only 2 minutes the flow of a use case implemented using optimistic rollup, plasma, and state channels. This was an exciting presentation.

面白人物

台湾のIT大臣

台湾のデジタル担当政務委員(日本でいう大臣)のオードリー・タン(唐鳳)氏が頭良すぎてヤバかった、との声がたくさん Vitalikとも仲良いらしい。行きたかったな。

ブロックチェーン弁護士

MakerDAOでlegal counselを務めるJacek Czarneckiさんのセッションも人気。 DevConに弁護士も来るのです。 ブロックチェーンで実現できることは、現状の法律のフレームワークの中に限られているという事実もあるので、ユースケースをドライブするのに本当はもっと弁護士の関与があるべきだと個人的には思っています。

つまり、ブロックチェーン上で、土地の権利を管理する際、個人間で簡単に譲渡できます、というサービスがあった時に、ブロックチェーン上は簡単に譲渡できたとしても、それが国の管理するデータベース上でも譲渡されないとなんの実用性もなかったりするわけで。。

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I do not have general feelings about this event

お声がけした知り合いの中には、「昨年からの進歩があまりないDevConに特に思い入れはなく、特にハイライトしたいセッションもない」、というシビアな意見をお持ちの方も多くいらっしゃいました。

わたしのつぶやき

DevCon5には何かしらブロックチェーン関連で生計を立てている方が5,000人以上集まりました。日本人の割合が以上に低かったのは前述の通りですから、世界中から、多くの場合は会社からの経費で日本まで来てくれたわけです。 ブロックチェーンが実生活になじむのはまだ先かもしれないけれど、こんなに多くの人々に職を与え、心の支えになっているブロックチェーンには改めて感激させられました。

そしてなによりも、日本人が少なかった! 日本でやっているのに参加者の85%近くは海外からの参加者というイメージ。。。 わざわざ東京から大阪まで来るのがめんどくさかったのか、日本には「開発者」がそんなにいないからなのか、、

最終日にやっと会場入りすると、10歩歩くたびに知り合いがいて、声をかけてくれて、予想以上にいろんな人知ってるな、自分、と内心嬉しくなったり:)

技術面、リーガル面、ビジネス面、どれもまだまだこれからなブロックチェーンですが、夢を抱かせてくれる大好きな場なのでこれからも大切にしていきたいです。

登壇予定

11月14日にSDGs X Blockchainで登壇予定なのですが、その際にもDevConでの学びやアメリカでのアイデンティティ珍道修行について言及する予定なので、こちらにもぜひいらしてください! Embedded content: https://peatix.com/event/1348284/view